白い巨塔 第2話
山崎豊子原作の同名小説4度目の テレビドラマ化。 2000年代以降の プライムタイム の連続ドラマ としては珍しい2 クール放送で、2003年10月9日月11日まで第一部が、2004年1月8日 - 3月18日まで第二部が放送された。全21回(第一部全10回、第二部全11回)。最終回の翌週の3月25日には特別版として、
柳原弘のその後の エピソード を追加した総集編が放送された。月18日まで第二部が放送された。全21回(第一部全10回、第二部全11回)。最終回の翌週の3月25日には特別版として、柳原弘のその後の エピソード を追加した総集編が放送された。
各回、軒並み20% を超える高視聴率を記録し、最終回の視聴率は多くの地域で30% を超えるなど反響を呼んだ ドラマ であった。 また、最終回の視聴率は、田宮二郎主演の1978年版の最終回(31.4%)を上回る32.1% を マーク し、「木曜劇場」 としては平成中期の最大の ヒット作となった。
番組放送枠「木曜劇場」 の当時の スポンサー である大正製薬は、この作品が放送されている期間は スポンサー から撤退していた。当時の スポンサー の一つである三菱自動車工業は本作において プラウディア を財前教授などの ショーファードリブンカー として登場させているが、同車は放送開始2年前の2001年に生産が打ち切られている。
木曜劇場シリーズ初の日本の地上デジタルテレビ放送作品でもある(第九回以降)。
また、2004年12月17日、12月24日、12月30日には3週連続で白い巨塔アンコール(総集編)が放送された。 その後BS フジ や フジテレビ CSHD、地上波「チャンネルα」(2009年10月-11月)、同「ドラマチックα」(2014年1月)、同「メディアミックスα」(2020年2月-3月)で ハイビジョン放送が行われた。 また、フジテレビ721、チャンネル NECO(2020年GW一挙放送)でも16:9 レターボックス(画角情報は4:3 で後者は タイトルバック のみ4:3)で再放送された。
2004年には中華民国(台湾)、2006年には中華人民共和国、2007年には大韓民国で放送された。
特色
設定
原作は1960年代の設定であるが、本作は放送当時の医学水準に置き換えている。 ただし、内科医が MRI等で検査する過程は カット された。
大学医学部の医局という組織において、統括責任者としての「教授」 は直接の人事権が与えられており、その強大な権力の源となっていた。教授選という旧体質的な ストーリー が リアル性を与えている。
2004年4月から新臨床研修医制度に、2007年4月から助教授が准教授になったことにより、結果論ではあるが、医局を舞台とした現代劇の ドラマ化の最後の チャンス を生かしたことになる。
ロケ地
世界で初めて アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所(原作では ダッハウ強制収容所。 1978年版では収容所シーン無し)で フィクション作品の ロケ が行われた。 このため、本作の「国際外科医学会」 の開催地は原作の ドイツ の ハイデルベルク から ポーランド の ワルシャワ に変更された。 また、原作では財前は ダッハウ に少し立ち寄っただけに過ぎず、その後一度も言及がなかったが、この ドラマ においては死の直前に財前が アウシュヴィッツ を回想する、という シーン が登場した。
原作に即して大阪の「浪速大学」 を舞台にしているが、大阪での ロケ は初回のわずかな シーン だけである。
浪速大学病院:院内や病棟・手術室や屋上は川崎市立川崎病院が使用されている。 また、前庭・玄関部・大会議室は富士通川崎工場が使用されている。
東都大学:浴風会本館
石川大学:東京薬科大学
大阪地方裁判所:八王子市役所
千成病院:東京共済病院
近畿労共病院:川崎市立井田病院旧館
浪速大学高度がん医療センター:茨城県庁
くれない会の ゴルフコンペ会場:ロッテ皆吉台カントリークラブ
反響
財前役を演じた唐沢寿明は、撮影前に原作者の作家・山崎豊子と食事の席(プロデューサー も同席)で初めて対面した際、山崎に「あなた、いい度胸しているわね」 と言われた。当初山崎は、役の イメージ に合わないという理由で唐沢が財前役を演じることに難色を示していたが、食事が進むにつれ「あなた面白い男だね。」 と気に入り、唐沢の起用に納得したという。 その後、本作を見た山崎は
1978年版で里見脩二を演じた山本學は本作に対し、「今の作品は、どうして感情表現や演出が大袈裟すぎるのかねえ」 という感想を述べている。 これに関しては、78年版の プロデューサー であり、本作でも企画に参加していた小林俊一も同様の意見を インタビュー で述べている。
キャスト
詳細は「白い巨塔の登場人物」 を参照
主人公
財前五郎(国立浪速大学病院第一外科副部長・助教授→第一外科部長・教授)
演 - 唐沢寿明
食道外科を専門としている。天才的な オペ の名手であり、ゆえに実力主義で自信家である。師弟関係にあった東とは、第一章において教授選をきっかけにいがみ合う仲になり教授就任の妨害を受ける。 しかし、義父・財前又一の強力な援助により、徐々にしたたかな政治力を身につけ、結果として教授へと上り詰めた。 その後、国際的な学会で高い評価を受け、新しくできる浪速大学病院の系列・がん センター長の地位を獲得するが、二章で自らが起こした医療ミス による裁判に敗訴したことで内定を取り消される。物語の終盤では、裁判での結審直後に気胸で倒れ、ステージⅣの肺癌と診断される。
元々は患者を助ける医者になりたい、母親を喜ばせてやりたいという一心から医師になったものの、大学病院特有の白い巨塔に巻き込まれ、地位や名誉を求めて生きるようになる。死への不安と向き合う中で親友であり ライバル でもある里見をはじめとした周囲の温かさに触れてそれまでの自分に疑問を抱くようになる。最期は朦朧とした意識の中でがん センター を里見と共に盛りたてる夢を見ながら里見に看取られこの世を去った。
里見脩二(国立浪速大学病院第一内科副部長・助教授→千成病院内科医長)
演 - 江口洋介
財前の同期であり、互いを認め合う良き ライバル。大学病院には患者治療とがん予防の研究のために残っており、政治的な野心は全くない。 その強い正義感から周りからは煙たがられることが多く、旧態依然とした病院の体制に強い葛藤を抱く。一方で患者と真正面から向き合うことで患者からの信頼を得ている。
患者よりも野心を優先させる財前の姿勢に正義感から度々苦言を呈し、彼が教授になってからも変わらずに接し続けた。裁判では財前の不利になる言動をし、財前を敗北に追い込んだが、裁判の証言台に立ったことで大学病院を追われ、大河内の斡旋により、民間の千成病院の内科医長に就任する。研究は大学病院より限られているが、白い巨塔がなく「最後まで患者と向き合いたい」 との思いから千成病院を居心地がいいと思っているため、財前や鵜飼によるがん センター内科部長就任の オファー も固辞している。財前の癌を診断した際には体面を気にして転院を拒否する彼に「俺が君の不安を受け止めたい」 と語気を強めて語るなど、財前との友情を感じさせた。財前の死去時には又一の計らいもあり、1人で彼の最期を看取った。
浪速大学の関係者
東貞蔵(第一外科部長・教授→近畿労共病院病院長)
演 - 石坂浩二
財前を育て上げた師であり、8年間行動を共にした。盆栽が趣味で、自宅にてよく手入れをしている姿が描かれている。策を巡らすことが多く感情的ではあるが、基本的に不正を嫌う高潔な性格であり、自分の立場しか考えない鵜飼を諌める場面もあった。
勝手な行動を取りがちな財前とは教授選をきっかけに目立って反発し合うようになり、そのことから退任後の自分の後継教授を財前ではなく石川大学医学部の菊川へ受け継ごうとし、慣れない政治工作にまで手を染めるが、力不足により教授選で敗北する。
前述の経緯もあることから財前のことは快く思っていないが、教授退任日にはわだかまりを水に流して財前に会いに行こうとしており [注釈、心底では財前を自分の弟子としてその力量を認めている。
第二部では近畿労共病院院長に就任。当初裁判に口を出すつもりはなかったが、佐々木庸平の死因の経緯を聞き、証言台で真実を話す。終盤、財前の肺癌を知り、自らの弟子である財前を救うために手術を行うが、手の施しようがなく終わってしまう。財前に病状を隠すことには金井と共に反対したが、受け入れられなかった。 その後も彼への往診に通い、献身的に診察を続けていた。財前の危篤時にも関わらず後任の人事の話を持ちかける鵜飼に対して「財前君は生きています」 と憤りを露わにしていた。
鵜飼良一(第一内科部長兼医学部長・教授→浪速大学学長)
演 - 伊武雅刀
又一や岩田などの策略によって、教授選では財前の味方になるが、最終的には自分の利益、金に心を動かされ、財前を教授就任へと手引きした人物。
豪放磊落で大らかに見えるが、自身の誤診などを決して認めようとしない傲慢な性格で、白い巨塔で描かれる権威主義の象徴的人物である。教授選や裁判の際に財前の味方をしたのも、結局は全て自分の利益のためであり、本性は非常に腹黒い。
絵画鑑賞が趣味であり、画廊を訪れていたこともある。
第二部では浪速大学学長に就任しており、財前の肺癌の手術後、彼に病状を告知するかどうかの話し合いの際には又一から涙ながらの懇願を受け入れ、東らの反対を押し切って緘口令を敷くように命じる。容体悪化時には前作のように後任教授の人事を考えるなど使い捨てのような態度を取る [4]。
危篤時には財前の枕元に駆け付け心配する振りをするが「誰だ、君は? あっちへ行きたまえ」、「用はない、出て行きたまえ!」 と一蹴された上、里見には押しのけられ、最後には東に促され他の医局員を押しのけるように病室を退出する。
特別版でも登場し、浪速大で行われた里見の講演を見にきた柳原に対して自分の器の大きさを自慢するなど腹黒さは健在。
大河内清作(病理学科教授)
演 - 品川徹
鵜飼の前任の医学部長。大学の講義では里見と財前も指導を受けた。教授の中では年長者であり、基礎講座を取りまとめる。教授選の選考会で委員長を務める。
寡黙かつ公正明大を旨とする性格で融通がきかないと言われる面もあるが、研究熱心かつ患者への治療に純粋な姿勢を見せる里見を高く評価し、何かと目をかけている。
その一方で財前の政治力や傲慢な態度をよく思わず「彼は政治家にでもなったつもりか」 と苦言を呈した。第二部の佐々木庸平の病理解剖を行い、肺への転移を立証した人物でもあり、裁判で証言台に立ったことで行き場を失った里見の就職口を紹介した。
財前の死後は彼の遺言によって財前の遺体の病理解剖を行うがその場面は描かれていない。
今津昭二(第二外科部長・教授)
演 - 山田明郷
国立浪速大学医学部附属病院第二外科教授。野心を抱く財前が第一外科教授になる事は、自分にとって不都合と考え、東に協力する形で教授選に参加する。